クレームは謝罪するポイントを間違うと炎上する

ある日、いつも降りる駅のホームにある、

いつも使っている駅の階段が封鎖になっていました。

改良工事をするためですが、

代わりに少し離れたところに新しく

「3本の一人用エスカレーター」が設置されました。

3本というのはつまり、

混雑する時間帯によって、

真ん中の1本が、下り用になったり、

上り用になったり用途が変わるというわけです。

生活の中に新しいものが増えるというのは

基本的に嬉しいことですが、

なんだか、そのエスカレーターは使いづらい・・・。

到着した電車からの人が一斉に降りてきて下りたいのに、

「下り用が1台」。

ほとんど誰ものぼってこないのに

「上り用が2台」動いているのです。

当然、下りのエスカレータは大混雑します。

でも、そのエスカレーター使わなければ、

すごく大回りして出口に向かわなければいけません。

しかたなく数日間そのエスカレーターを使っていました。

「しばらくすれば、駅が混雑状況を見て、きっと下りエスカレターを増やしてくれるに違いない。」

淡い期待をして大混雑に付き合っていたのですが、

一週間たっても、下りエスカーターは

一台のままでした。

そこで、

状況に気付いていなか、

変えようとしていないことがわかったので、

その日、やっと乗れたエスカレーターのうえから、

電車のお役様窓口に電話をしました。

「朝9時半と言えばまだ、乗る人より降りる人が多いのに、下りのエスカレーターが1台だけなのはおかしい。大混雑している。下りを増やしてくださいよ。」

と、伝えました。

その投げかけにオペレーターの女性は、こう応えました。

「下りが1台で、上りが2台動いているということですね。」

そして、

「お客様から、そのようなご希望があったことをすぐにお伝えさせていただきます。」

と。

・・・

一見、悪くない応答に見えますが、

正直これでは、怒りに油を注ぎ、

客はさらに怒り出す可能性が高いです。

なぜなら、この応答は

「起きている出来事の、事実確認をしているだけ」

で、

その事実に対して、電話をしたくなった

「客の心情への応答がまったくない」

からです。

下りのエスカレーターが1台でも、

クレームを入れる人と、入れない人がいますよね。

事実を正確に確認することは入り口であって、

クレームを入れたくなる(入れざるを得なくなった)

心情への働きかけがなければ、不満が残ります。

初めから悪意がある以外のクレームは、

こうして気持ちへの応答がないことから炎上するのです。

ちょっと意地悪のようですけれども、

私は今回あえて一般的にありがちな

「事実しか伝えない」という方法で

クレームを入れてみた。

ここにもし、心情的な表現もあったらどうでしょう。

「朝9時半と言えばまだ、乗る人より降りる人が多いのに、下りのエスカレーターが1台だけなのはおかしい。大混雑している。上りを増やしてください。」

のすぐあとに。

「急いでいるのに、急げないじゃないか!階段の時より不便になったじゃないか!」

とか。

クレームを入れたくなる心情というのは、

別の言い方をすると、

「叶わなかった願い」

です。

まず、先ほどのオペレーターのように

事実を確認する繰り返しはいいとしましょう。

そのあとに、

その事実に対して、顧客が感じている

不満を聴き取り、叶わなかった願について

期待に沿えなかったことを謝罪すると

いいのではないでしょうか。

例)事実だけ謝罪

「このたびは、エスカレーターが1本しか動いていないということで、ご迷惑をおかけし申し訳ございません。」

事実として間違いではないけれど、

何か物足りなくありませんか?

例)満たされなかった願望への謝罪

「このたびは、エスカレーターの件でご迷惑をかけしております。お急ぎの時も混雑して急げず、前より不便になってしまっているとのことで、ご迷惑をおかけし申し訳ございません。」

相手が完全に納得してくれるかどうかは別として、

このような心情への働きかけがあってから話を進めるのと

なくて事実確認だけで進めるのと、

どちらの方が、クレームが炎上する可能性が低くなるでしょうか?

事実を聞き間違えても、確かにトラブルになりますが、

それは認識の違いを確認しあえば解消できます。

でも、気持ちへの応答がなければ、

いくら事実確認だけ正確にしても、

顧客はさらに怒り出したりします。

「丁寧でも聴くポイントを間違うと、聴こうとすればするほど、顧客が怒り出す・・・」

これでは努力が報われず残念です。

「クレーム=事実+事実に対する感情」

ですから、

いきなり謝ればいいというものでもありません。

その人が感じているものに、

感じている程度に謝るから意味があるのです。

だから傾聴のようなことが必要なのでしょうね。

これをお読みいただいているあなたは、

仕事をされている方かもしれません。

もしかして御社の接客マニュアルに、

「とりあえず謝りましょう」

と書いてあったら・・・危険です。

①クレームの感情的な「主訴」を聴き取り
②その裏にある「叶わなかった願望」を理解し
③願望に対して期待に沿えなかったことを謝罪する

これをするための基本がまさに、

賛成できる/できないという同感的な理解ではなく、

相手の「心情を」100%認める共感的な理解です。

【この言葉を自分に言ってみよう!】

「事実に応答するのではなく、事実に対するその人の気持ちに応答しよう」

どんなに努力しても、

クレームが完全になくなることはありません。

でも、もしかしたら

クレームを増やしているのは、

こちらの対応のまずさからなのかもしれない、

そう疑ってみる必要はないでしょうか。

クレームは時間も、感情も、

人員配備のお金もかかりますね。

クレームを自社内で増殖させるのだけは防ぎたいものです。

・・・

翌日から9時半は、下りのエスカレーターが

2本に増えていました。

ありがたいことです。

混雑も解消、私の気持ちも解消したのでありました。

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